コニャックの生産地域は土壌の違いにより、六分類されますが、今回の原酒はボア・ゾルディネール(BOIS ORDINAIRES)地区/大西洋に面したオレロン島で作られたコニャックです。ギュレム氏のコメントの通り、このようなシングルカスクでの流通が非常に珍しく、殆ど目にすることがない原酒。
味わいにはしっかりと唯一のテロワールが感じられ、爽やかで余韻に塩っぽさが感じられる個性的な一樽。
Commented by Guilhem GROSPERRIN
このカスクは、サン・ピエール・オレロン村で作られたヴィンテージコニャックの18年熟成の樽です。
このコニャックの生産者は、2007年に生産を中止してしまいました。コニャックの飲まれるシーンでこのエリアのシングルカスクが出回ることはほぼありません。
かつては重要な生産拠点としても認められていたこのエリアは、海が近く、”Cru”で認められている多くの土壌と異なり、砂質土壌であり、このコニャックには海の香り、島での熟成によって、更にその風味が引き立てられており、唯一のテロワールを感じさせます。
まだあまり知られていない、コニャックの多様性を知らせる題材として非常に相応しいものであると確信します。
*蒸留されてから、オレロン島現地で熟成されています。比較的乾燥したセラー内での熟成を経ています。香りは、爽やかな香り、潮風、ミモザ、温かい砂の香り。

グロペランブランドを有する「ラ・ガバール社」はフランス西部シャラント・マリティーム県下、シャラント川左岸にあるフランス最古の町のひとつで交通の要地として発達したサントに本社を構える、1992年創業のネゴシアンです。
先代のJean Grosperrin(ジャン・グロペラン)氏は地元シャラントで、コニャックやワインを商社に紹介する生産者との仲介役を担ってきました。
そのビジネスの中で、日々家族経営の小さな蒸留所を訪ね、色々な生産者を商社に紹介していく傍ら、同氏は各セラーで卓越したコニャック原酒が眠っていることに気が付きます。
そうした優良原酒が大手メーカーに買われ、膨大なブレンド用の一原酒として消えていくのを常に目の当たりしており、いつしかそれらを主役として
扱いたいという思いにかきたてられました。
その後ほどなくして、価値を理解してくれる人達にそれらを届けたいという想いから、自ら最良の原酒達を買い付け始め、今あるグロペランの礎が築かれていきます。
その熱い想いは、1992年に良い原酒が集まり満を辞してラ・ガバール社を設立することで実を結び始めます。
1999年には遂に、それらコレクションを販売すべく、「ジャン・グロペラン コニャック コレクション」が誕生。これまで眠っていた素晴らしい原酒が少しずつマーケットに開放され始めたのです。
2004年からは息子のGuilhem Grosperrin(ギレム・グロペラン)氏も合流。先代の意思をしっかり受け継ぎ、今では同ブランドの販売を一手に担っています。
ギレム氏はオールジャンルのスピリッツに精通しており、もの静かな人柄ながら、哲学と信念も持った職人気質に溢れています。
さらには卓越したテイスティング能力と、樽の選定能力を持ち、そのセンスは現地の業界内でもサラブレッドのように光るものを感じさせます。
ブランド自体の歴史は浅いですが、それまでの過程で構築してきたコネクションや経験値が根底を支える、今後の動向も注目される質実剛健のネゴシアンです。